テレワークの定着、社外からの情報アクセスの増加、サイバー攻撃の高度化。
こうした環境の変化により、従来以上に「社内ネットワークへの安全な接続」が求められています。その代表的な手段が VPN(Virtual Private Network:仮想専用線) です。
本記事では、
- VPN接続の基本概念
- 仕組みと技術的特徴
- 種類ごとのメリット・デメリット
- セキュリティ課題や限界
- これからのゼロトラスト時代との関係
を体系的に整理し、企業のIT管理者・経営者が判断しやすい視点で解説します。
1. VPN接続とは? — インターネット上に「安全な専用回線」をつくる技術
VPNとは、インターネット上に暗号化された仮想の専用回線をつくり、安全にデータ通信を行う仕組みです。
通常、インターネットは「誰でも見える道路」のような存在ですが、VPNはその道路の中に「鍵付きトンネル」をつくり、第三者から通信内容を見えなくします。
1-1. VPN接続が利用される主な場面
- テレワークで社内LANに接続
- 外出先からファイルサーバへアクセス
- 拠点間ネットワークの安全な接続
- 海外環境から国内環境への接続
- パブリックWi-Fi利用時の保護
特に企業利用では リモートアクセス用途 が中心で、コロナ禍以降に導入が急増しました。
2. VPN接続の仕組み — トンネリングと暗号化が鍵
VPNの根幹となる技術は次の2つです。
(1)トンネリング
インターネット上に「仮想トンネル」を作り、その中だけを通信できるようにする技術。
第三者から中身を覗かれません。
(2)暗号化
通信内容を暗号化し、盗聴されても解読できないようにします。
一般的に AES や IPsec が使われます。
接続の流れ(リモートアクセスVPNの場合)
- PC / スマホにVPNクライアントをインストール
- 認証を行う(ID・パスワード、証明書、ワンタイムパスなど)
- トンネリングを確立
- 暗号化された通信が社内に届く
- 社内LANにいるのと同じように利用可能
※SSL-VPNの場合は「ブラウザでアクセスするだけ」の方式もあります。
3. VPNの種類 — 代表的な3方式を比較
① IPsec-VPN(主に拠点間)
- OSIレイヤ3で動作
- ネットワーク層で暗号化
- 高速・高信頼
- 通常はルーターやUTMで構築
▶拠点間通信向け
② SSL-VPN(リモートアクセス中心)
- ブラウザベースのログインも可能
- 端末依存が少なく、導入が簡単
- テレワーク普及で最も利用増
▶個々の社員のテレワーク用に最適
③ クラウドVPN
- サービス型VPN
- オフィス不要、インストールして接続
- SD-WANと併用されるケース多数
▶中小企業の導入が急増
4. VPNのメリット — 導入後に得られる企業効果
(1)安全なリモートアクセス環境を構築
外部から社内ネットワークに安全に接続できるため、テレワークが可能に。
(2)ネットワーク全体のセキュリティが強化
通信を暗号化するため、盗聴・なりすまし・中間者攻撃を防止。
(3)コストを抑えて専用線並みの環境
インターネット回線を使うので、専用線より圧倒的に安価。
(4)アプリやサーバを社内に保持できる
クラウド化が進む中でも「社内資産を守りたい企業」に向く。
5. VPNのデメリット・課題 — 2025年以降は“弱点”が目立つ
VPNは万能ではありません。
テレワーク急増により「VPNの限界」が露骨になりました。
(1)トラフィック集中による通信遅延
VPNゲートウェイにアクセスが集中すると
“VPN渋滞” が発生。
ファイルDLや動画会議が遅くなる。
(2)ゼロデイ攻撃の標的になりやすい
VPN機器自体の脆弱性が世界で多発。
攻撃者の狙いは“ゲートウェイ一箇所を突破するだけ”。
(3)社内LANにフルアクセスされる危険
VPNに接続すると、端末に権限が広がる場合があり、
- マルウェア感染端末が社内全体に影響
- 権限過大(過剰なフルアクセス)
などのリスク。
(4)端末管理の負担
OS更新・証明書管理・ウイルス対策状態などの
「端末の安全性保証」が必要。
(5)ゼロトラスト時代との相性の悪さ
ゼロトラストモデルでは
“接続 ≠ 信頼”
という思想が基本ですが、VPNは
接続した瞬間に広い権限が付与される
という構造的課題があります。
6. VPNの代替・進化系 —— ZTNA(ゼロトラストネットワークアクセス)との違い
企業は現在、VPNから ZTNA / SASE への移行が進んでいます。
VPN
- 社内LANに接続
- フルアクセス
- “認証後は信頼”が前提
- 帯域負荷が大きい
ZTNA
- アプリ単位のアクセス制御
- 最小権限
- 常時検証(Continuous verification)
- Cloud-nativeで運用負荷が低い
今後の標準は「ゼロトラスト×SASE」 といわれる理由がここにあります。
とはいえ、VPNがすぐに消えるわけではありません。
既存の社内システムやオンプレ環境では、VPNは依然として必要です。
7. まとめ — VPNの限界が見えた今、次に選ぶべきは“VPN不要で安全なアクセス”
VPNは長年、企業のリモートアクセスを支えてきた重要な技術です。しかし近年は、
- VPN回線の混雑(通信遅延)
- ゲートウェイの脆弱性を狙った攻撃
- 接続=社内LANに広い権限が付与される構造リスク
- ゼロトラストモデルとの非親和性
といった課題が顕在化しています。
特に「テレワーク利用者が増えるほど遅くなる」「端末の安全性まで担保できない」という問題は、多くの企業のIT担当者の悩みの種です。
次の解決策:VPNを前提にしない“アプリ単位の安全なアクセス”
ゼロトラストの時代、求められるのは
“社内ネットワーク全体に接続させるのではなく、必要なアプリだけに安全にアクセスさせる仕組み”
です。
ここで近年注目されているのが、VPN不要のセキュアアクセス を提供するソリューションです。
SmartGate が実現する新しい標準:VPN不要で安全・高速に社内システムへアクセス
SmartGate(セキュアブラウザ)は、
VPNを使わずに、ゼロトラストの考え方に基づき、安全な暗号化通信とアプリ単位のアクセス制御を実現できる
という点が最大の魅力です。
SmartGate の特長(VPN比較で伝わりやすいポイント)
- VPN不要:ゲートウェイ集中による“VPN渋滞”が発生しない
- 暗号化通信:通信は独自のセキュアトンネルで保護
- 端末にデータを残さない(ブラウザ内処理)
- アプリ単位でアクセス制御が可能
- 社外PC・BYODでも安全に利用可能
- ゼロトラスト運用と高い親和性
従来の「社内LANにフル接続させる」VPNとは異なり、
“必要なサービスだけを安全に使わせる” という現代的なアクセス方式
を提供します。
VPN最適化 → SmartGate への移行が2025年以降の現実解
短期的には既存VPNの最適化や負荷分散が必要ですが、中長期的には
- VPNの限界を解消したい
- テレワークをより安全・快適にしたい
- ゼロトラスト運用へ移行したい
- BYODにも対応したい
という企業で、SmartGate のような“VPN不要・高速・安全”な仕組みが新しい標準になりつつあります。




