― 多くの企業がVPNに縛られ続ける本当の理由 ―
「VPNはもう限界だと分かっている」
「正直、使いづらい」
そう感じながらも、VPNを使い続けている企業は少なくありません。近年はVPNを起点とした情報漏洩やランサムウェア被害も増え、「VPN=安全」という前提が揺らいでいるにもかかわらずです。
なぜ企業はVPNを“やめられない”のでしょうか。
本記事では、技術的な話ではなく、組織・心理・運用の観点からその理由を分解していきます。
理由①「今まで問題なかった」という思考停止
過去の成功体験が判断を鈍らせる
VPNがここまで普及した背景には、「これまで大きな事故が起きなかった」という事実があります。
- 長年VPNを使ってきた
- 特に問題なく業務が回っていた
- だから今も大丈夫だろう
この思考は非常に強力です。しかし、環境は大きく変わっています。
- テレワークの常態化
- BYODの拡大
- クラウドサービスの利用増加
「昔うまくいっていた設計」が、今の働き方に合わなくなっている可能性は高いのです。
理由②「代替を検討する時間がない」
情シスが“守り”に追われている現実
VPNをやめるには、
- 現状把握
- 代替手段の検討
- 社内調整
- 移行計画
といった工程が必要です。
しかし多くの情シスは、
- 日々の問い合わせ対応
- 障害対応
- アカウント管理
といった目の前の業務で手一杯です。
その結果、「問題は感じているが、検討する余裕がない」という状態に陥り、VPNは惰性で使われ続けます。
理由③「VPN=セキュリティ対策」という誤解
経営層・現場との認識ギャップ
VPNは長年「セキュリティ対策の代表例」として語られてきました。そのため、
- VPNをやめる = セキュリティを弱める
- VPNがない = 危険
というイメージが社内に根付いています。
実際には、VPNは
**「社内ネットワークに入るための手段」**であって、
「情報漏洩を防ぐ万能策」ではありません。
しかしこの誤解を解くには、説明コストがかかります。その結果、誰も踏み込まず、VPNは温存されます。
理由④「社内システムがVPN前提で作られている」
設計思想そのものが足かせになる
多くの企業では、
- 社内システム
- ファイルサーバー
- 業務アプリ
が「社内ネットワークからのアクセス」を前提に設計されています。
この場合、VPNをやめることは
ネットワーク設計全体の見直しを意味します。
「そこまで大きな話にしたくない」
「触ると影響範囲が広すぎる」
こうした心理が、VPNを“外せない存在”にしています。
理由⑤「責任を取りたくない」という無意識の防衛
変えないことが一番安全
VPNを使い続けて事故が起きた場合、
「一般的な対策をしていた」と説明できます。
一方、新しい仕組みに切り替えた直後に問題が起きると、
「なぜ変えたのか?」
という問いが向けられます。
結果として、
変えないことが最も責任を回避しやすい選択になってしまうのです。
VPNは「やめられない」のではなく「やめ方が分からない」
ここまで見てきた理由は、どれも
「VPNが優れているから」ではありません。
- 慣れ
- 忙しさ
- 誤解
- 組織構造
- 心理的ハードル
これらが重なり合い、VPNは“やめられない存在”になっています。
発想を変える:「ネットワークに入れない」設計へ
VPNを外す=無防備、ではない
重要なのは、
VPNを外すこと自体ではなく、何に置き換えるかです。
近年は、
- 社内ネットワークに入れない
- 業務システム単位でアクセスを制御する
- 端末に情報を残さない
といった設計が主流になりつつあります。
「やめられないVPN」から抜け出す選択肢 ― SmartGate
SmartGateは、VPNのように端末を社内ネットワークへ接続させるのではなく、業務へのアクセスそのものを制御するアプローチを取ります。
- BYODでも端末に業務情報を残さない
- 社内ネットワークを公開しない
- 情シスの運用負荷を増やさない
これにより、
「VPNを完全にやめるかどうか」ではなく、
**「VPNに依存しない範囲を少しずつ広げる」**という現実的な移行が可能になります。
まとめ
VPNがやめられない理由は、技術ではなく人と組織にあります。
だからこそ、無理に否定するのではなく、
- どこが限界なのか
- どこから置き換えられるのか
を整理することが重要です。
「とりあえずVPN」を続ける前に、
本当に守るべきものは何かを一度見直してみてはいかがでしょうか。



